過去の展示

POPPETRY 壺と人

2022/7/8(土)〜24(日)

MOYAN | 吉野 俊太郎 | 副島 しのぶ

POPPETRY 壺と人

この度、クマ財団活動支援生三名による企画展覧会「POPPETRY 壺と人」開催いたします。

本展で取り扱われるモチーフは人形です。ニンギョウにせよヒトガタにせよ、古今東西で人間の鋭意の中に寄り添ってきた人形は、まさにクリエイターの格好の相棒とも言って間違いはありません。そしてそれは、クマ財団奨学生/活動支援生である副島しのぶ、MOYAN、吉野俊太郎にとっても、殊更に重要なモチーフとして扱われています。

あらゆる境界のあわいに目を向けようとする副島しのぶの作品には、自作の人形が多く登場します。ストップモーションによって生命を与えられた人物や動物たちは映像内で、時に互いの生に安堵し、あるいは死を悼み、感情すらもその行為の中に表しています。その姿は明らかな作り物でありながら、しかし観る者の日常にオーバーラップし続け、そしてそうした人間の日常では到底観察し得ない距離と速度で、死や影を直接的に開陳し、われわれに訴えかけるのです。

MOYANの描き出すイメージについても、副島作品との共通点は多く見い出されることでしょう。近年セカンドハンドの人形を蒐集して絵画のモチーフとするMOYANの制作では、ボロボロになった人形たちのありのままの姿が架空のシナリオを伴いながら描写されています。ビビッドで一見明るい空間の中に配置されながらも中古特有の不気味な空気感を帯びた人形たちは、新品のそれらに見られるようなピュアな製品的な表情をすでに脱しており、その様子はまるで社会に生きる私たちの人間模様と精神状態を客演しているように感じられます。

一方彫刻を専門領域とする吉野俊太郎は近年での活動の中に度々、自作のぬいぐるみを配置しています。ぬいぐるみの弱く柔らかい布と綿の表皮は伝統的に彫像で用いられた硬質な表面に比較するとずっと壊れやすく、寿命も短いですが、その分人体に近い距離での人間の姿を思い起こさせます。そこには彫像が従来伴うような永久不変のイデオロギーなどは存在しておらず、硬さと柔らかさの接点での関係性が冷静に描かれるだけとなります。

常に人の形代として用いられながら、壺に喩えられる表面性と空洞性、あるいはそれゆえの度量の広さを併せ持つ存在。自身らの扱うモチーフをそう捉えた三者によって本展は、Puppetry(操り人形、見せかけ)とPottery(壺)とのかばん語「POPPETERY」と名付けられました。本展では、表現媒体を違えながらも共通したテーマを複数抱えるこの三名の作家の活動を、人形というモチーフから紹介いたします。ぜひご覧ください。

EVENT INFORMATION

Title

POPPETRY 壺と人

Creator

MOYAN | 吉野 俊太郎 | 副島 しのぶ

Date

2022/7/8(土)〜24(日)

Venue

〒106-0032
東京都港区六本木7-21-24
THE MODULE roppongi

Time

12:00 〜 19:00

Closed Day

火・水

Price

無料

ART WORK

副島しのぶ 《ケアンの首達》 2018

副島しのぶ 《ケアンの首達》 2018

副島しのぶ 《どこ行った私の首、昨日までは飛んでいた》 2016

吉野俊太郎 《Plinthess》 2021

吉野俊太郎 《不自然な幕引き》 2020

吉野俊太郎 《水死の氏》 2019

MOYAN 《Figurehead》 2022

MOYAN 《Package》 2020

MOYAN 《Reindeer》 2018

CREATOR PROFILE

MOYAN

MOYAN

  • 第1期生
  • 活動支援

絵画

東京藝術大学大学院修士課程修了。着せ替え人形やドールハウスをモチーフにジェンダーや家族観等の問題を取り入れた「人間劇」をテーマに絵画を描いている。主な展示会にun petit GARAGEでの個展「DOLLs」や「ICON」、「ドル・プレイ」などがある。
Profile

吉野 俊太郎

Shuntaro Yoshino

  • 第1期生
  • 活動支援

彫刻

1993年新潟県生まれ。2024年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。展示壁や什器などの周辺に注目、展示物の自我とその演出手法について「操演される彫刻」と呼称し、作品制作を行う。2019年〜2024年、東京都小平市にて共有スペース「WALLA」を始動し、運営に携わる。
Profile

副島 しのぶ

SHINOBU SOEJIMA

  • 第3期生
  • 活動支援

映像

立体アニメーションの技法を使った短編映画や映像作品を制作。アジアの民間伝承や民族文化のリサーチを通じて、影と光、死と生など対立し合うもの同士の均衡や狭間をテーマにしたナラティブな映像表現を試みる。第22回メディア芸術祭審査員推薦作品やFANTASIA国際映画祭など国内外で受賞、公式上映される。
Profile

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〒106-0032
東京都港区六本木7-21-24
THE MODULE roppongi

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