2020
夢光價万金
ヨーロッパでの無声映画の時代が終わり歌が重要になった1928年米、ラリーシェイ作曲ウィリアムジェローム作詞でヘレンケインが歌ったアメリカンポップス「Get Out And Get Under The Moon」を題材にした作品。その後もビングクロスビーやドリスデイ、ナットキングコール などが歌ったものが日本でもヒットした。ベティーブープが歌う姿が私たちの世代ではスクラップビデオでの親しみがあるのだろうか。それらをパロって米記者のバートンクレーンが昭和6年にカタコト日本語で「月を眺めよ」と題し歌いヒット。
(彼がたぶん、ビフォー・ビートルズでの英語圏歌手の金字塔だろう)国内では伊庭孝の作詞により「月光価千金」と題してエノケンがコミカルに歌い、二世世代の王ディックミネ作詞により川畑文子が優しく美しく歌い上げ、美空ひばりがキングコールに捧げるアルバムでシャンソン風に歌っている。明治~戦後のアメリカンポップス、カンツォーネやJポップの繋がりを見ると現代のコラージュ文化が見えて来る。そしてそれらを独自発展させた台湾のマンドポップなど。私はイメージを重ね、そのリメイク、ブート、オリジナルについて問う。また、無意識的意識と既視感による知覚をデジタル世代の私たちがどう感覚と繋ぎ合わせるかを反応で知ることができたらと思う。
©YOSHIKI MURAMATSU