《水面》《春終雨》《流花景》

私は広島県の田舎で生まれ育ちました。昔から絵を描くことが好きで、身の回りの自然をモチーフにすることが多かったです。それは、金属という素材と出会った今も変わりません。異なる種類の金属を切り出し、パズルのようにピタリと合わせて接合することによって、自然の風景を描き出しています。今回は、流れゆく川とそこに浮かぶ花々を描いた作品を集めました。その中でも《春終雨》は、昨年の春に見た景色をもとに制作したものです。川沿いの桜並木、水面に落ちる花びら。ぽつぽつと降る雨が波紋を生み、春の柔らかな光を反射させていました。綺麗だとしばらく見入っていましたが、春の終わりを感じてふと切なくなったことを覚えています。作品を通じて、この景色と感情を少しでも分かち合えれば嬉しいです。