2026
《景をたたむ》
本作は、イタリアで接してきた風景と、日本をはじめとするアジアの日常風景がもとになっている。移住や留学で住む場所が目まぐるしく変わる中で遭遇する日常の風景が、身近でありながら、どこか不確かで掴みきれないものに思えてきた。出発点はマンガの背景画への関心だった。キャラの背後に広がる、静かで空白の多い空間は、省略や編集を通して生まれてくるが、そこには、写真的な再現とは異なるリアリティがある。現実の風景にはそれがない(あるいはそう感じにくい)。他方、理解ではうまく回収されず、視線を滞留させるのがマンガならではの風景性ではないかと考えた。本作は、日常風景を再現する試みではない。「風景を重ね、折りたたむ」というタイトル通り、すでに住んでしまった風景をもう一度背景に戻すアクションである。
【9期生による出展作品】
©Liisa