インタビュー
【クリエイター奨学金(AI)「奨学生の声」】vol.7 アニメーション / まちだリな
クリエイター奨学金第6期生
ナラティブとノンナラティブのあいだで物語を探し続ける。厚塗り絵の具を主としたアナログアニメーションにより、映像作品やTVCM、MVなどを制作。映像作品はオタワ国際アニメーション映画祭、新千歳空港国際アニメーション映画祭など国内外で上映される。
活動内容を教えてください
アナログの手法がメインでアニメーションを制作しています。自身の短編アニメーション作品の制作、CMやMVなどのクライアントワークなどの発表をしています。国内外問わず、上映や仕事を続けています。
また、最近はアニメーションを現代美術の文脈に接続していく役割にも関心があり、上映展示の企画「MOVOP」の立ち上げ・運営なども行なっています。
クリエイター奨学金に応募しようと思ったきっかけは?
アニメーション作家として活動を続けていきたいと思ったのがきっかけです。作家って続けることが一番難しくて、続けることが一番重要な気がしています。実は大学院1年のときも受けていて(院2年でクマ財団6期生になりました)、書類で落ちています。
学部生の時に制作したアニメーション作品「Yawaraka boat」。これは初めてのアニメーション作品だったのですが、当時は、作品をつくるのみで、自分がその作品を持ってどこに向かうのか、作家としてどう続けていくかといった具体的なビジョンがありませんでした。
院1年の頃はアニメーションをはじめてようやく一年が経った頃で作品数も少なく、方向性もまだ不明瞭でした。なのでわたしにとって書類で落ちたことは、作家としての将来を考えていくための良い機会になったと思います。そこから一年、制作を続けたい思いは変わらず、それを支える自分の作家性を形成していき、作品も増やし再度受けることにしました。
結果的にクマ財団に落ちたことと通ったこと両方が今も作家活動を続けられている要因のひとつになってると思います。
奨学金は何に使いましたか?
作品の制作費が主でした。
わたしはアナログで月に2000枚くらいは描いていることが多く、絵の具や紙などの画材も中々かかってしまいます。
ガラスの上に油絵具で描いて撮影して消し、次のカットをまた描いて撮影して消しながらコマを進めていく手法。この動画では1秒間24枚で制作した。
生活しながらそういったお金を集めるのは容易ではなく、私はクマ財団に通ったおかげで修了作品に集中して制作することができて、さまざまな場所で上映いただいたり、賞をいただいたりできるような作品が生まれました。
クリエイター奨学金に採択されて良かったことはありますか?
月10万円から貰った”時間”はかなり大きいです。アニメーションはやっぱり描く量を重ねていかなければどうにも進まない部分があり、制作時間がかかってしまいます。アルバイトをモリモリしながら制作を続けるのはなかなか厳しい分野です。
なので、クマ財団に貰った月10万円を支えにしながら、自分の未来につながるようなフリーの仕事のみでやっていけたのはステップアップに非常に大きくつながりました。
また、展示の機会をいただけたのも良かったです。私はアニメーションが主体なのでついつい劇場で上映するのが当たり前のようになっていました。しかし、ギャラリーで展示展開をしていかなければならない機会をいただいたことで、アニメーションを見る視野が広がり、実際に今ではアニメーションと空間についてすごく考えるようになりました。
最後に、応募者に一言!
作家・研究活動はクマ財団に採択された後も続いていくことです。奨学金に採択されることは大きなチャンスであり、同時にあくまでもただのチャンスです。たとえば去年落ちてしまっても、応募条件に合う限りつづけていれば挑戦するチャンスはまた訪れます。私が一度落ちているので、ぜひ過去に落ちた経験のある人にも挑戦を継続してほしいなと思います。
何かを達成するには、達成したその先のことを常に考えていくのが重要で、これを達成したら…これが受かったら…終わり、という瞬間はきっと制作にも研究にも訪れないと思います。あるいは、その終わりを訪れさせない・続けていくための算段を語り続けられる人が奨学金に採択されるんじゃないかなと思ってます。
最高の未来を想定して、そこに行き着くための要素を実行し続けるのがおすすめです。クマ財団に応募すること自体も作家活動を続けるために必要なことの一部と捉えて応募してみるのが良いのではないでしょうか。落ちても受かっても、目標に向かっていく自分を改めて見つめなおすとても大きな機会になるはずです。
「クリエイター奨学金(AI)」第8期生の応募締め切りは
2024年3月24日(日) 23:59まで!
詳細は以下をご確認ください。