インタビュー
【クリエイター奨学金(AI)「奨学生の声」】vol.9 版画 / 松田 ハル
Photo by Shiori Kikuchi
クリエイター奨学金第5期生
1998年生まれ。筑波大学芸術専門学群版画専攻卒業後、京都芸術大学大学院グローバル・ゼミに在籍。版画とVRを組み合わせた、「VR版画」を制作している。現実と仮想の空間を鑑賞者が体験することで、新しい鑑賞体験を展開している。
活動内容を教えてください
元々は、筑波大学の芸術専門学群で版画を専攻し、アーティストになるための方法を学ぶことを目的に京都芸術大学の大学院に進学しました。現在は、東京でアーティスト活動を行っています。
主な制作内容としては、版画から現代のテクノロジーまでの複製技術を用いて、プリムティブなイメージを3DスキャンしたものをVR上で加工し、また、VRを用いたドローイングを現実空間にシルクスクリーンや絵画の技法を使って制作しています。
アウトプットの形としては、画像のようなシルクスクリーンでの平面作品や3Dプリンターを使った彫刻などを発表しています。
近年では映像作品の制作や、インスタレーションの手法も模索しています。
クリエイター奨学金に応募しようと思ったきっかけは?
自分が採択されたのは5期生の時で、大学卒業間際だったのですが、もともとクマ財団のクリエイター奨学金の存在は知っており、何度か応募をした経験がありました。
応募理由はなんといっても返済義務がなく、高額の金額を支援してもらいながらのびのびと制作できると思ったからです。
また、まだ名前のないような分野や、新しさに対する柔軟な受け入れ方をするクマ財団の姿勢がとても魅力的に映ったからです。
当時を振り返ると、未だデビューもできておらず、なんの実績もない自分を面白がってくれたことはとてもありがたいことだと思います。
奨学金は何に使いましたか?
将来も活動を続けていきたかったので、その資金を貯めることと、制作の機材費に使用しました。
高額なのでなかなか購入できなかったパソコンや3Dプリンターなどの機材を手に入れることができて、多くの自由な実験ができました。
同時に、この資金の存在は、大学院に進学する迷いや、将来に対する漠然とした不安、学費面の心配を打ち消してくれるものであったことは間違いありません。
クリエイター奨学金に採択されて良かったことはありますか?
良かったことは、何よりいろいろな面白い同世代の人たちと出会えたことだと思います。自分の考え方が広がり、それが自分の制作にも繋がったと思います。この繋がりの影響力は大学院を卒業した今でも強く思います。
自分は美術大学でのスタンダードな考え方に良くも悪くも大きく影響されていたので、自分とは異なる他の分野の方の活動は刺激になりました。大学での優劣など一切関係なく、自分の信じるべき道を後押ししてくれる、そういった魅力がクリエイター奨学金にはあると思います。
最後に、応募者に一言!
今現在いる地点が正しいかどうかは誰にも分かりません。評価される、誰かに見られているといったことは二の次で、自分がどういう人間で、どのように生きたいのかを真剣に考えてほしいです。それは自分自身も長い旅の途中のように感じており、難しくも挑戦的で、誰かに祝福されるものではないのかもしれません。
しかし、未知のものに対して真剣に取り組んでいることに対して、クマ財団は寛容で、認めてくれる土壌です。
悩んだり、燻る経験は誰より自分自身が知っているはずです。他の誰かではなく、応募した皆さん自分自身の証明、世界を見せてほしいと思っていますし、私もそのような人間になれるよう、先輩として思っています。
「クリエイター奨学金(AI)」第8期生の応募締め切りは
2024年3月24日(日) 23:59まで!
詳細は以下をご確認ください。