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杉浦 瑛優さん、新曲「出会い直す 〜打楽器アンサンブルのための〜」が初演されました

8期生の杉浦 瑛優さん、9月10日(火)に開催したワークショップにて新曲「出会い直す 〜打楽器アンサンブルのための〜」が初演されました!

『出会い直す 〜打楽器アンサンブルのための〜』

【研究の意義・目的】
有史以来、音楽は人々のウェルビーイングの向上に貢献してきたが、近年、演奏活動が高齢者のウェルビーイングだけでなく、孤独感や社会的交流等、様々な心理アウトカムに与えるポジティブな影響が注目されている。  しかし、多くの演奏ワークショップは、参加者が一定の読譜力や音感、リズム感を持っていることを前提としている。このため、音楽表現に関する経験が乏しい人や、自分のことを音痴やリズム感がない人間と捉えている人にとっては、演奏活動に参加したくても、これらのプログラムに参加することは大きな障壁となっている。  このような課題を解決するために、高齢者の音楽熟練度を問わず、全ての人が参加可能な演奏ワークショップの開発が求められている。その一つの手法として、「管理された偶然性」を導入した打楽器曲の合奏が有効である可能性がある。この手法では、二群の打楽器アンサンブルが、それぞれランダムに選ばれた別々のリズムパターンを演奏し、音楽的重層性を表現することができる。演奏においては、読譜力やリズム感に自信がない人でも、自分のペースで演奏に参加できることが期待される。  本研究は、音楽経験に関わらず参加可能な合奏曲の演奏が、高齢者の心理的安全性等の心理状態に与える影響を検証したうえで、制作曲の文化的処方としての可能性を予備的に探究することを目的としている。

【実施の結果・発展性】
被験者の声は概ね「楽しかった」、「一体感を感じられた」といった感想に集約される。その他には、「学校の音楽の授業のように、楽譜通りに決められた演奏をしなければならないといった制約感が取り払われ、自由に演奏を楽しめた」や、「現代音楽を聴くのではなくやってみたらというコンセプトで、祭りのリズムとか身近なリズムをみんなで刻むと不思議と合ってくる」などの、楽曲の狙いや構造に対しての理解溢れる好意的な意見も聞くことができた。  しかしながら今回の好評は、作曲家自身が指揮と指導を担当したことによる説得力や、高齢者とのコミュニケーションに長けたアシスタントの存在によるところも大きく、さらに、本企画に前向きに参加した、自立した高齢者の積極性と対応力に大きく依存していると感じる。  理想とする「社会処方としての普及」に向けての研究を、対象群を変えて今後も継続していく。

杉浦さんの今後の活躍にぜひご注目ください。

【新曲『出会い直す 〜打楽器アンサンブルのための〜』】
■日時:2024年9月10日(火)
■場所:たいけん美じゅつ場VIVA(茨城県取手市中央町2-5 アトレ取手4階)
■新曲題名:『出会い直す 〜打楽器アンサンブルのための〜』
■作曲:杉浦瑛優
■研究課題名:「管理された偶然性」を活用した合奏が高齢者の心理的安全性に与える影響に関する予備的調査(研究代表者:東京藝術大学社会連携センター 伊藤達矢 職位:教授)
■共同研究者: 東京藝術大学音楽研究科作曲専攻・杉浦瑛優 横浜市立大学医学研究科看護学専攻・三宮柾名
■打楽器演奏アシスタント:水口透槙 (web site: https://lit.link/Postouma)
■打楽器演奏:高齢者6名
■主催:2023-2032年度 科学技術振興機構(JST)「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」本格型・共創分野「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」(研究代表者:伊藤 達矢)

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