2022-23
《すべりおちる目、藻の匂い》《白馬の騎士》
今作は、オランダ北部の民間伝承を元に書かれた小説「白馬の騎手」をモチーフとしている。干拓によって造られた土地を守る堤防監督の人生を通して、人と自然との攻防が描かれている。
関東沿岸部の埋立、都市部の建築に使用される山砂の採取場近辺にて撮影、採取したイメージを、飽和させたり、重複やずれを加える作業の中で、記録された光景の中から「風景」を再構築することを試みる。
写真というメディウムを用いた操作によって見え方そのものがずらされていくことと、網膜の中に刻み付けられたイメージが実際の場所と乖離していくことについて考え、制作している。
“その納屋は臺地の幾らか奥に横つていたので、老婆は自分の窗から堤防越しに海を眺めやることが出來ませんでした。(…) 曲つた指で下の方に擴がつている畑地の方を刺しました。「一體イェエルズの砂洲は何處だらうね。あの赤い牡牛の向ふかね、それとも黑いのの向ふかい。」”
シュトゥルム「白馬の騎士」より
▶▷▶▷グループ展詳細ページ:KUMA experiment vol.4『はっきりとしたかたちをもたない』
▷▶▷▶ギャラリートーク:https://www.youtube.com/watch?v=0iW7M8kT6zk
©NAGISA YOKOYAMA