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2022-23
《明治百五十五年》
私は制作において、この国が近代を迎えるにあたって創出した「美術」概念と、その歪さを以って醸成されてきた現代の美術教育の在り様を問題としてきました。本展覧会ではこれらを、大きなねじれを持つ一つの輪として捉え作品として表します。
本作品は、白亜地の上に自作塗料を用いて「美術」の文字をかたどるようにカビを発生させたものです。西洋にて絵画制作のための下地として開発された白亜地は、高温多湿な日本では防腐剤無しには使い物にならない一方で、アカデミックな古典技法としての雰囲気も保ち続けます。
対象に養分となるものを与える教育的行為の結果、育てたものにカビが生えるという一見後ろ向きな作業に出来るだけ真摯に向き合うことで、現在私が拠り所とする場所が持つねじれを確かめ、ここに立つ術を見出すことができるかもしれません。
▶▷▶▷グループ展詳細ページ:KUMA experiment vol.1『二回ひねって一度たつ』
▷▶▷▶ギャラリートーク:https://www.youtube.com/watch?v=RCmJBhk2_j4
©SHIORI YAMASHITA
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