2023-24
《 BIG BEADS 》
昨今の人文科学における存在論的な視座は、日常用品や素材といった、身の回りにある「モノ」が、人間の状態や、文化、進歩に対して作用していることを示唆している。だが、視覚に認知を頼る現代において「モノ」は単なる生活の道具と認識され、静かに潜んでいるその物体の活力を感じることは少ない。顕微鏡から着想を得た本作品《BIG BEADS》は、その不可視のエネルギー
を主題に制作した。かつて、顕微鏡が存在しないとされた物質の微粒子に有形のシルエットを与えたように、本作品では色彩的な言語を通じてモノの見えない多面性と力を表現する。ビーズ織の技法と、ぼかし染の染色技法の 2 つが組み合わさるシンプルな構成から、ビーズの既製品としての色彩、作家による染色、鑑賞者の解釈する色彩の 3 つの視座が循環し、鑑賞者に物体との関係性について問いを投げかける。
▶▷▶▷グループ展詳細ページ:KUMA experiment 2023-24 vol.2『ASTERISM(⁂)』
©CALLY TAN