第9期生

黒澤 匠

TAKUMI KUROSAWA

絵画

2026

《On Distance》

重なりあうイメージは、1つの身体がこの地表に触れた不連続な瞬間の再構築である。ユーラシア大陸とインド亜大陸の繋ぎ目に刻まれた深く乾いたしわの底に立ち、写真を撮る。私は観光客である。翻って家に還る。公園の蛇口は日常の中で「彼方」から流れ込む無限の富を想起させ、アトリエのオレンジは渇望と移動の歴史的証拠である。パノラマ的奥行きは鑑賞者を異なる空間に手招く一方、変則的な筆致や波打つ麻布、ノイズを伴うイメージの衝突は没入を拒否する。個々のオブジェクトは私的で取るに足らないかもしれないが、それらの繋ぎ目に生じる思考の跳躍はあまりに巨大で複雑な不可視の現象に辿り着く可能性を秘めている。この絵画は私たちに宿命的に与えられた「遠さ」をめぐる認知的断絶を克服する試みと言える。

【9期生による出展作品】

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