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東 弘一郎

KOICHIRO AZUMA

メディアアート

現代美術 地域芸術

2021

浮遊車輪 / 他転車

《浮遊車輪》は自転車を組み合わせた一つの車輪に見立てたものを、宙に浮かせて回転させる作品である。
これらの自転車は、tokyobikeの試作品や試乗車として活用されたが、特定の人間の手に渡らずに役目を終えた。新品の自転車に見えるが、売り物にならないのだそうだ。数カ月後にはtokyobikeの新店舗として生まれ変わるこの倉庫の中で、この自転車たちを一つの車輪に見立て、新たな形の一つの自転車に生まれ変わらせる。陸こそ走れなかったこの自転車たちを、重力から開放し、新たな甦りの形として表現した。

《他転車》は自転車が人力で物理的に回転する装置である。自転車の歴史を調べてみると、かつて自在車や自輪車と呼ばれていた装置だということがわかる。自転車という言葉は竹内寅次郎という男が作り出したブランド名で、「転」という感じにはそれほど深い意味が込められていなかった。それにもかかわらず、自転車という単語が普及し、一般化していることに違和感を感じた。
自在に動かせる車ならわかるが、自ら転がる車という言葉にはどうも納得がいかない。私は「転がる」という言葉に、自転車そのものが回転する姿を想像した。自転車を回転させ、本当の意味での「自転車」を一度作り上げることで、この違和感を取り払おうと考えた。しかし、私が作り出してしまったのは、自らの力で転がる「自転車」ではなく、他の力を受けて転がる「他転車」となってしまったのだった。

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