2022-23
『Vita』
各作品タイトル:
《ElectroCardioGram》《The Day》《Regeneration》《The Umbilical Cable》
今回の作品『Vita』は、ラテン語で生命という意味を持ちます。最もありきたりな、それでいて難しいIF……すなわち「生命とは何なのか」という思索の行く末を、四つの仮説として提示します。心電図、地獄を吐露したメモの束、日記、スマートフォン。生にまみれた人間の付属物を用いた、生命そのものの展示です。この世界線において、人間はすでに滅び去っています。私達が伺い知ることの叶わない仮想の無限遠、すなわち、人間が絶滅した遠い遠い未来を出発点に定め、人間という種の事実を俯瞰して眺めることで、生命の本体と魅力、醜さ、そして可能性を探ります。
私は今年、医学部の四年生になります。人体の複雑な仕組みと病について、日々学びを深めながらSFを書き続けてきた人間として、この問いは究極の問いです。命は不確かで透明で、捉えることが難しく、だからこそ多くの人の注目を集めるのだと思います。と同時に、生命の周囲には常に死の臭いが漂っています。死が眼前に迫る時、生のきらめきが垣間見えるのです。
▶▷▶▷グループ展詳細ページ:KUMA experiment vol.4『はっきりとしたかたちをもたない』
▷▶▷▶ギャラリートーク:https://www.youtube.com/watch?v=0iW7M8kT6zk
©ASAKO NAKAGAWA