2022-23
《いつかFairy God Motherに出会う為のいくつかの方法》
Dragは身体やセクシュアリティ、それに押し付けられるジェンダー・ステレオタイプを嘲笑い、乗り越えるための身体を張った実践であり貴方とそれを分かち合うためのやりすぎた冗談である。
妖精の国は優しい mother である女王様の元に一つの家族で生殖の必要もなく、重たい体を足で支えなくても良く、あと何もかもカラフルな気もするしクィアで Aセクシュアル(※1)の私にとって最高の世界。いつか妖精になりたかったけれどなれなかったので Drag Queen(※2)になった。女らしさ、男らしさ、人間らしさ、強制的性愛(※3)をピンヒールで蹴飛ばした先に私の愛すべき女王様(Queen)とChosen Family(※4)が待っていると信じて今日も徹夜で偽物の羽根を作る。
▶▷▶▷グループ展詳細ページ:KUMA experiment vol.6『一層』
▷▶▷▶ギャラリートーク:https://www.youtube.com/watch?v=14RX0Ghumpc
注
※1… 他者に性的惹かれを感じないか、感じたとしても性行為を望まないセクシュアリティ(性的指向)の一つ。
※2… 女性に割り当てられるジェンダー・ステレオタイプを派手な衣装とメイクで過剰に装い、主にクィア・コミュニティーのクラブ等でパフォーマンスを行う人、またはその職業。
※3…“アセクシュアルとはある特定の性質を表すカテゴリーではなく,社会における強制的性愛(compulsorysexuality)の可視化に有用な政治的な性的指向カテゴリー(politicalsexualorientation category)である.強制的性愛とは,性行為やセクシュアリティを特別なものであると位置づけ,身体の健康や自己形成,親密な関係と紐づける考え方や規範である(Przybylo 2016).
“引用元~日本におけるアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性―「Aro/Ace 調査 2020」の分析結果から1)―三宅大二郎・平森大規~
※4… 血の繋がりや法的な結びつきではなく自分自身で選択した家族の在り方。主にクィアコミュニティで発展した概念。代表的な例に『House』があり、motherやfatherと呼ばれる人が子供達(House メンバー)の面倒を見て互いに助け合って生活をしたり、チームで Ballroom に出場したりする。Drag QueenもDrag Familyと呼ばれる共同体を作り、技術や振る舞いをDrag Motherが教えることがある。
©Moche Le Cendrillon