インタビュー

活動支援生インタビュー Vol.21 中村 理彩子インタビュー「人は何を、なぜ、美しいと感じるのか。中村 理彩子が探求する愛の本質」

クマ財団では、プロジェクトベースの助成金「活動支援事業」を通じて多種多様な若手クリエイターへの継続支援・応援に努めています。このインタビューシリーズでは、その活動支援生がどんな想いやメッセージを持って創作活動に打ち込んでいるのか。不透明な時代の中でも、実直に向き合う若きクリエイターの姿を伝えます。

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RISAKO NAKAMURA| 中村 理彩子

数年前、天王洲で行われたあるイベントで編集者の方にご紹介いただいたのが、中村理彩子さんとの出会いでした。薄浅葱色の美しいドレスがよくお似合いで、それがご自身で作られたものだと知ったわたしはとても驚いたものです。イベントの後は、川べりのカフェで一緒にワインを少しだけ飲みました。光を抱く水面のようなあの特別な夜を、今でもたまに思い返すことがあります。

現在は熱海に創作の場を移した理彩子さんとひさしぶりにお話をする機会をいただき、これまでのことや、移住先の地で生まれた映像作品『A Mother’s Daydream』について伺いました。日々思考を重ねる彼女が今、何を思い、何に挑もうとしているのか。たくさんのヒントに満ちた対話となりました。

text: aggiiiiiii

aggiiiiiii(以下、A):大学(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス。以下、SFC)に通いながら専門学校に通う、いわゆるダブルスクールをされていたとなにかの記事で読んだんですね。大学が湘南で、専門学校が新宿って、けっこう大変だったんじゃないかなと思って。

中村理彩子(以下、R):いや、本当にそうで。大学3年の頃からダブルスクールを始めたんです。

A: 大学では総合政策を学んでいて、ファッションやろうって思ったのは、どうしてなんですか。

R: SFCの総合政策学部というのは、いわゆる”政策”から離れていてもなんでもよくて、一番大きな関心ごとというのは「課題の解決」なんです。つまり、なにかの課題を解決していたら、デザインや建築でもいいし、政治を学んでもいい。ちょうどファッションやデザインを専門にしてる先生がいらっしゃったので、ゼミに入りました。SFCってご存じですか?

A: 同級生が何人か通ってました。でもSFCでファッションもできるんだっていうのは知らなかったので、すごいびっくりしたんですよ。

R: そうですよね、みんな言いますもんね。

人は、何を、なぜ、美しいと感じるのだろう?

CREDITS : DANCER @ ____miho_u / PHOTO @xiangtianyong_kouda

A: まずは、映像作品『A Mother’s Daydream』のベースになったという、クマ財団の継続的な活動支援を受ける前に制作されていた演劇作品(『蠱惑(KOWAKU)』)についてお伺いしたいなと思います

R: この作品は、自分でもよくわからないくらい「人は、何を、なぜ、美しいと感じるんだろう?」、そして「人は、何を、なぜ、愛してるんだろう?」ということに執着するようになってしまったときに、それを洋服では表現することができなかったことから舞台をやろうと思ったものです。

A: それは打ち合わせの時に伺った、「衣装に物語性を持たせないといけないと考えるようになった」ということにも関係してますか?

R: 結局、洋服というのは、大きななにかのイチ要素でしかないんだなと思うようになったことがきっかけでした。物語という織物に織り込まれている繊維が、洋服だったり、人物だったり、空間だったり、ストーリーのプロットとかだったりするのかなと思うようになって、そうすると、洋服ってなんのためにあるんだろうって考えたところから、ほかの要素と同じ目的に向かって紡がれるものを作っていきたいと思うようになった次第です。

A: ちょっと引きで画を見るようになったということでしょうか。その舞台を経て、クマ財団に今回の映像作品の支援を受けるにあたり、どのようにブラッシュアップさせたいと思っていましたか? いろいろな表現方法がある中で、なぜ映像がふさわしいと考えたでしょう。

R: 最も重視したのは伝える方法でした。舞台という生物(なまもの)だと「伝わらない」と感じることがすごく多かったので。「もう一回、これをやりたい、もっと上手にできる」そう思ったものの、二回目は、そのためにもう少し方法を考えないといけないと思って。映像の魅力は、さまざまな方法で編集が可能であることです。上手に編集ができると、それぞれの一部分よりも絶対に伝わる有意でおもしろいものができると思いました。

俯瞰して見ることは大事

A: 物語と衣装は、どちらから着手されたんですか。

R: 今思うと、物語を完成させてからやるべきだったんですけど、同時進行でやりました。

A: 映像の衣装の中には、先行して制作されていたドレスも含まれているように見えたのですが、理彩子さんの中で、これまでの作品を新たな文脈に置いてみたかったという考えがあったのではないかと思ったんですよね。

R: 本当にその通りで、新しく作るものと、今まで作ってたものを当てはめるっていうスタイルを両方やって、うん、だから見抜かれてるって、ちょっと思いました。同じ意味を伝えようとする服だったのもあり、演劇で使用した衣装を今回の映像でも使っています。でも、どういったところで、そう思われたのかなって。アギーさんは、ZINEを作られて、その文も書き、編集もし、しかも挿絵も描かれているので自然と編纂作業をこなせる方だと思いますが、その中で、統一感を保つために意識されてることってありますか。

A: わたしの場合は、ZINEのテーマもそうですけど、その時その時でやりたいことをやっているだけなので自分では正直バラバラだなと思っていて。それがある時、雑誌で数ページ自由にやらせていただける機会があって、その時に、俯瞰して見てみたらバラバラのように思えていたものにも、案外一本の筋が通ってたんだと自分で発見したことがあったんです。つまり、自分はメインストリームに飲まれない反逆精神が旺盛な女の子が好きで、ずっとそういう人たちについて書いていたんだなと。今回の映像を見て、もしかしたらそういう発見が理彩子さんにもあったんじゃないかと思ったんです。

R: そうですね。断片としては成立してるようなしてないような、それぞれの意味をあまり発揮できてないような状態だったところから、どうやったら作った時に込めた感情を伝えられるものになるのかを模索しました。それを考えたいということもあって、田舎に引っ越したというのもあります。東京にいたら自分はできない気がしたんですよね。

A: そうだったんですか。今どれぐらいですか、熱海に引っ越して。

R: 2年まだ経ってないですね、1年半です。海が好きなのもあり、とにかく田舎は気持ちいいです。今まで気づかなかったこと、音も香りも「関係」?とかも、すごく見えるようになった気がします。アギーさんは、東京以外の場所に住まれたことはありますか?

A: わたしは関西なんですよ。19歳ぐらいまで兵庫にいて、中高は大阪に通ってたんですけど。その後、2年イギリスに行きました。それからはずっと東京です。

R: そうなんですか! 兵庫、大好きな人多いですよね。教えていただいた映画(黒沢清監督の『スパイの妻』)のロケ地の旧グッゲンハイム邸には行ったことがあるんです。異人館とか、なんか山が近いっていうのがすごく好きで。山と海の間に住みたいと思って、熱海という場所も選びました。

A: 今回のロケーションになった熱海の起雲閣と理彩子さんの衣装、めちゃくちゃ合ってました。クラシカルでタイムレスで、この世のどこかですらなさそうな、とても幻想的な世界に仕上がっていて。あそこで撮影するというのは決めてたんですか。

映像作品『A Mother’s Daydream』より抜粋

R: ありがとうございます。もう、あそこで撮影するということを決めた上で、それも含めた予算をクマ財団に提出しました。

自分以前の存在と、以降の存在

A: ファッションブランド<YOLK>のプロジェクトとして、短編小説『着者語(きるものがたり)』も発表していらっしゃいます。『A Mother’s Daydream』を拝見する前にそちらを読んだこともあって、ふたつの世界観はとても近いと感じたんですね。妊娠・出産というモチーフをテーマに選ばれたのはなぜなんでしょう。

R: 「私たちは、何を、なぜ、美しいと思うのか」、あるいは「何を、なぜ、愛せるのか」ということにこだわったという話を、最初にもしたと思います。その答えというわけではないのですが、自分なりの仮説を立てるようになりました。それはなにかというと、祖父や祖母や先祖などの「自分以前の存在に馳せる想像」と「自分以降に誕生する存在、つまり自分がこれから生み出すであろう子供だったり、子孫に馳せる想像」、このふたつがある種、愛の本質と関わるのかなあ、などと思うようになりました。そして、妊娠という状態はまさに、「以降」を目前にしている。自分が「以前」になろうとしている。その瞬間に愛に対する不安や葛藤、あとは恐怖が生まれるのかと思い、「妊娠」を扱いながら今回の映像作品を作りました。

A: 自分以前の存在と、以降の存在ですか。なるほど。

R: 我々がなにかを美しいと思う感覚も、これらに非常に影響を受けてるんじゃないかと。たとえば(ポストイットを手にして)これが本当に美しいかどうかっていうよりも、これ以前の存在とこれ以降の存在に対する想像力っていうものが影響しているのかな、とか……。日本の思想の一部でもある「侘び寂び」もそれに近いものでできていて、それゆえ、一見、美しくないようなものが、美しく見える時があるのかな、とか。

A: わあ、めちゃくちゃおもしろいです。

「生きてる」「死んでる」「いないけどいる」

映像作品『A Mother’s Daydream』より抜粋

A: 一見しただけではわかりにくい、謎めいた作品ですよね。女性が眠りに落ちて奇妙な夢を見る、いわゆる『不思議の国のアリス』のような構成なのですが、幸福なのか、そうでないのかよくわからない。劇中に出てくる時計は出産までのカウントダウンを表しており、次々と変わる衣装は妊婦の身体的、もしくは精神的な変化とリンクしているのかなと思ったんです。ただ、最初に『着者語』を読んでいたので引っ張られちゃってるところあると思うんですけど、この人は産んだのか産んでないのかどっちなんだろうって、見ている間ずっとわからなかった。冒頭のベビーベッドがあるトイレで手を洗って軽やかに出ていく姿、あれがなにかの隠喩にも思えて。
まず、眠っている女性が着ている、美しい野獣のような豊かなボリュームのドレスに、はっとします。でも見ているうちに、ふさふさの毛皮に見えたような柄が、ちがう、これ仏像だと気がついて。あのドレスにはどういう意図があるんですか。

映像作品『A Mother’s Daydream』より抜粋

R: 野獣というのは意図していなかったです(笑)。あのドレスで仏像を扱っているのは、まずちょっと、形而上的な存在…「生きてる」「死んでる」「いないけどいる」とかがコンセプトで、つまり最初のシーンって着床のシーンなんです。寝て着床して、まあ言葉遊びなんですけど、人が床についている。じつは脚本は「妊婦である彼女が、自分の子どもになる夢を見る」という設定で書きました。アギーさんが考察してくださったように時計でカウントダウンされるあの十ヶ月というのは、「出発しないといけないよ」って、子どもになった自分に対する外からの呼びかけでもあるんです。

A: そうだったんだ!

R: もうひとつの理由は、毎月MOA美術館に行くのですが、日本の芸術には『源氏物語』や『伊勢物語』など昔の物語の模様や情景が描かれた作品がすごく多いんです。つまり物語や伝説や逸話に対する思い入れとか憧れが記号になって、美術品や服に載っています。もしかしたら『ワンピース』のルフィー柄の筆箱が欲しいように、平安人もキャラクター・光源氏が好きなだけなのかもしれないけれど。私もそれをやりたいぜ!みたいな。ちなみに、そういう日本的なストーリーや記号に対してアギーさんが思う魅力とか、生活に取り入れたいなっていうものとか、そんなに好きじゃないって思うところでもいいんですけれど、なにかありますか?

A: うーん、わたし古いものがすごい好きで、古い家とか町とか。京都が好きなんですよね。年に何回か行くんですけど。でもなんだろうな、全然関係ないかもしれないんですけど、大きいものがこわいかもしれない。虚像恐怖症で、大仏とかこわいんですよ。

R: えー。意外でございます。

A: 近くに行けないんです。お寺の脇にいるやつとか、足がすくみます。牛久の大仏とかは遠くから車で見るだけでもこわい。

R: 大仏、大きすぎるからですか。

A: 大きすぎるのもあるんですけど、なんか人の念が込められていると思うとこわいんですよね。最近はちっちゃいやつも、ちょっとこわくなってきた。

R: おもしろいです。大仏恐怖症は、昔の人だったら、大変でしたね! あそこにも、ここにもいる。囲まれている……って。

A: ほんとですよね(笑)。

だれの立場からなにを見ているのか

映像作品『A Mother’s Daydream』より抜粋

A: ふたつ目の白いドレスは梅の花ですかね、すごくきれいな柄。プリントもご自分で描かれるんですか。

R: いくつかの理由から梅の花が衣装共通のテーマになっているんですが、あれはパブリックドメインになっている昔の墨絵みたいなものを引っ張ってきて、自分で撮った花の写真をコラージュしました。枝は墨絵で、花は自分の写真とか。

A: いろんなテクニックを駆使されてる。理彩子さんのお洋服であんなに踊れるんだっていう驚きもありました。ダンスのために動けるような衣装にされたのでしょうか。

R: 今回は、一部だけしてます。ちょっと詰めが甘いんですけど、ピンクの衣装とかは、初めから庭園で軽やかに踊るために、裏地にけっこう模様を入れたんです。一方で黒い衣装は、もうちょっと能っぽいイメージ。MOA美術館では年パスを持っていると、お安く、能が見れるのでたまに行っています。能の衣装に憧れちゃいました。

A: 黒い衣装、パンツドレスだ、かっこいいと思ったんですけど、イメージソースは能だったんですね、なるほど! あと、ここはどういう意味ですかとか、あんまり聞くのも野暮だと思うんですけど、眼鏡のシーンがよくわからなかったんです。あそこは、なにかのオマージュなのでしょうか。

R: どのように解釈してもらっても私としては全然それでいいし、本当はこう、とかいうのは正直ない気がします。ただ「私たちは、だれの立場からなにを見てるんだろう」っていう考え方があると知ったときに、たとえば、眼鏡をかけると遺影が赤ちゃんの写真になったりとか、花となったものは種であったりとか。そういうひとつのものの両面、「負」と「負じゃないもの」が、じつは同じものであるのかな、とか。

A: ええ。

映像作品『A Mother’s Daydream』より抜粋

R: 私はよく、結果と課題を取り違えることが多いなと思うんです。おじいちゃんの遺影が赤ちゃんの写真になる、つまりおじいちゃんが死ぬから私が生まれるわけで、死というものが「課題」ではなく生の「結果」であるのならば、それを悲しむのは不自然なことかもしれないとか。種と花も、老衰とか老いとか、アンチエイジングっていうけど、若くなくなるっていうことは本当に「課題」なのか。あたりまえの生命の結果が、なぜ、いつからそれは課題になったんだろう? とかすごい考えるようになって、主人公はそういったことに気づき、生命を送り出す、あるいは誕生すること(彼女は母であり、子であるので)に勇気を覚えます。それが、春への入口を見つけるっていう場面でした。

A: そういうことだったんだ。カーテンがパッと開いて、表情も明るくなりますもんね。

何を伝えて、何を伝えないか

R: 見る人に対して「何を伝えないか」っていうのは、「何を伝えるか」ということと同じぐらいすごい大事だと思うんです。(この作品で言えば)生まれたか生まれなかったか、という部分はどちらになるのか、悩みました。それで、どう終わらせるべきなのかっていうのはすごい悩んじゃったんですよね。

A: どうしようっていうのを悩まれてたんですか、あそこをつくられるときに? そうなんだ。

R: 結構。自分が母ではないこともあって、最終的にどう扱っていいのかもわからず。アギーさんはお子様がいらっしゃいますが、そういう母の観点からの感想はありますか? 私は子どもがまだいないので、すごく聞きたいです。

A: うーん。でもなんか、子どもが欲しくて欲しくてという人もいれば、やっぱり子を持つことを迷う人いて当然だと思うんですよね。自分もそうだったし。だからわたしは全然なんだろう、すごくわかるなと思って見てたというか。

R: うん。迷うのは当然だと思うのはどうしてですか。

A: なんだろう、単純に、こわい。

R: なにが一番こわいんでしょう。

A: これはちょっと個人的すぎる話かもしれないけど、自分のコンプレックスというか、努力ではどうにもならないところが似たらかわいそうだなって。みんながそうかどうかはわからないですけど、わたしはすごく葛藤がありましたね、出産に対しては。

R: 決めるまでどれぐらい時間がかかりました?

A: 産むって決めるまでですか、それはもう自分では決められなかったんですよ、正直。だから、もう運は天に任せようと思いました。妊娠がわかってからはもう前に進むのみでしたけど、それはそれで後戻りできないこわさがあったかな。

与えられるものは何か

R: アギーさんはイラストを描かれて、編集や文字も書く、これを全部ご自身でやられる理由はどこにあるんですか。

A: ZINEは元々デザインを友人にやってもらっていたんですけど、モチベーションをだれかとずっと共有するのって大変だなって。それぞれ生活もあるし、興味の対象も変わっていくし。あとは単純にお金がないから自分でやるしかないみたいな。似顔絵を描き始めた理由は、ある仕事のときに肖像権の問題で写真を使えなかったんですよ。ストックフォトも予算がないからだめで、じゃあどうしようかってなって、もともと似顔絵はふざけて描いていたので、それでいってみようかと。

R: とてもおもしろい、クリエイティブな解決方法ですね。

A: でもチームでやった方がいいと思います。だってひとりだと1の結果しか出せないものが、チームでやると2にも10にもなるから。特にデザインの力ってすごいので。ひとりでやるのは限度があるなって最近思います。理彩子さんは今、チームがありますか?

R: あると言えるかもしれません。次の作品なんかはけっこう大きいチームでやっていて、CGとかARとかを設計をする人がいて、脚本と衣装を私が考えていますが、美術監督や、プロジェクトマネージャーも頑張って、一緒にこの作品を作ってくれていて。

A: 仲間内で意見がぶつかったりとかもあるじゃないですか。そういうときはどうします?

R: いや、本当にむずかしいなって。でも「欲しいものを与えてもらう最良の方法は、それを先に与えることである」と、フランスの社会人類学者のレヴィ=ストロースが言っていて。まず与えないといけないし、しかもすぐに、自分に、返ってくるとも限らない。でもそうした贈与が、いかに社会と、じつは個人にとって大事なのかということを、最近は彼の『親族の基本構造』という本から少し学んだ気がしました。

A: すごくおもしろいですね。その本、読んでみたいです。与えること、普段全然意識してないですし……。

R: 私も理解できてないです、彼の言ってることのすべては。だからやっぱり、何度でも読まないと、と思ってこの本は、くり返し読んでます。

A: 最後に、今回の映像作品を手がけてみて、ご自身としてはどのような学びがありましたか?

R: 正直なところ、かなり苦しんだ作品ではありました。というのも、物語を美しく織ることを目標としていましたが、洋服だったり空間や人だったり、それぞれの繊維がまだゴワゴワだと、見ていて思う箇所が多いです。上手な人は、これがすごいなめらかなんですよね。くり返してくり返して、どんどん不純物のない、すべての繊維がなめらかな、織物というtextileになる。そんな「text」を次の作品ではやっぱり目指したいです。

 


aggiiiiiii プロフィール
インディペンデント・カルチャージン『KAZAK』編集・発行人。海外のガールズカルチャー、映画、ファッション等を独自に追いかけ、現在は『GINZA』(マガジンハウス)でコラムを連載中。翻訳書に『プッシー・ライオットの革命』(DU BOOKS)。

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